「去勢・避妊手術はさせた方がいいのですか?」と、オーナー様からご質問をいただく
事があります。
特に雌犬・雌猫を飼われている場合、一度くらい子供を生ませてあげたいと考えられる
オーナー様もいらっしゃるでしょうし、特に繁殖をお考えではないけれど、
別に病気でもないのに健康体に麻酔をかけたりメスを入れるのは・・・とお考えの
オーナー様もいらっしゃると思います。
またその逆に、子犬・子猫を飼われた時点から既に去勢・避妊手術をお考えのオーナー
様もいらっしゃいますし… 考え方は様々です。
では去勢・避妊手術のメリットは何なのでしょうか・・・?
女の子の場合(犬・猫共に)
① 望まない妊娠を防ぐことができる
② 卵巣や子宮の病気を防ぐことができる
③ 発情による精神的なストレスを抑えられる
④ 早期摘出により、乳腺腫瘍(乳がん)の発生率が低くなる
卵巣摘出時期別乳腺腫瘍発症確率
【犬】
発情前 : 0.05%
1回発情 :8%
2回以上発情後: 26%
2歳半以上 :有意差なし
【猫】
6ヶ月齢まで :9%
7~12ヶ月齢まで : 14%
13~24ヶ月齢まで :89%
24ヶ月以上 :有意差なし
男の子の場合(犬)
① 精巣の摘出により前立腺肥大症や精巣腫瘍の発生を抑えられる
② マーキング・マウンティング・攻撃性・徘徊の緩和、防止
③ 肛門周囲腺腫の抑制
④ 会陰ヘルニアの予防
⑤ 発情による精神的なストレスを抑えられる
男の子の場合(猫)
① スプレー尿・攻撃性(ケンカ)・徘徊の緩和、防止
② 発情による精神的なストレスを抑えられる
この様に、不妊手術を受ける事によって様々な病気やストレスからからワンちゃん・
ネコちゃんを守ってあげることができます。
では逆に、不妊手術のデメリットはないのでしょうか・・・?
① 麻酔のリスク
去勢・避妊手術は全身麻酔を必要とします。
勿論、手術前には事前に血液検査等をし、健康状態をきちんと把握した上で手術に
臨みますが、麻酔に対する危険性は0%であるとは必ずしもいえません。
しかし、若くて健康な場合はリスクも最小限ですが、肥満や加齢等により、麻酔の
リスクも高くなります。
② 妊娠(繁殖)ができなくなる
③ 肥満傾向になる
手術後、基礎代謝率の減少によりカロリー要求量が減るため、太りやすくなります。
しかし、食事量や種類の変更、規則正しい運動をする事により、体重のコントロール
は可能です。
◎ 去勢・避妊手術の可能な時期
ワンちゃん・ネコちゃん共に、当院では生後半年を過ぎた頃から手術を実施しており
ます。
しかし、特に小型犬(ミニチュア・ダックスフント、チワワ、トイ・プードル、
パピヨン・ポメラニアン等)でよく認められる、乳歯の残存が見られる場合は、歯の
生え変わりの状況により、診察・相談の上、手術の施術時期を決めさせていただいて
おります。
以上の様に、去勢・避妊手術には様々なメリット・デメリットがあります。
手術を受けさせようかな、どうしようかな・・・?とお悩みのオーナー様は、今一度
メリット・デメリットについてお考えいただき、何か疑問に思うことやお気づきの点
等がございましたら、ぜひ一度ご相談下さい。